こんな記事が…
「利回り8%以上を狙える毎月分配型に毎月3万円ずつ投資して、更にその利息を再投資していけば、複利効果で15年で1000万円になり、40年で1億円に!」と書いてありました。
これを書いているのは、金融関係の株式会社の社長さんで、多くのマネーの専門家をブレーンに持つ方だそうです。
まさかこの社長さんは、単純に「利息を再投資=複利」と考えているのでしょうか?
(追記)
Kapokさんからコメントをいただいて気づいたのですが、分配金を再投資するという手法で8%の利回りが狙えるかどうかは別として、社長さんは単純に利回り8%の複利運用をしていくというシミュレーションをしていただけでした。
以下は自分の考えた、「分配金を再投資した時に複利が効いてくるかどうか」のシミュレーションとしてご覧ください。
でも、分配金を「利息」と書いてしまうのは、明らかに分配金のことを誤解させようとしてますよね?
でも確かに、分配金を再投資すると口数は増えるので、次も同じ分配だとすれば増えた口数の分だけ分配金は増えるはず。
もしかして、これが複利効果かな?
銘柄名もいくつか書いてあったので、自分もこの投資法を試してみたくなりました。
ここで冷静に考えます

(a)基準価額が1万円の毎月分配型投信を100万円買ったとします。
(売買時の手数料はかからないものとします。)
(b)基準価額が変わらず1万円の時に、分配が100円出たとします。
(このときの分配はもちろん元本払い戻しです。)
図の計算式どおり、分配金は1万円です。

(c)その1万円を再投資したら、10101口買えました。
(d)その結果、口数は1010101口になりましたが、評価額は変わらず100万円です。

(e)次に、翌月に基準価額が9,900円のとき、また同じ100円の分配が出たとします。
口数が(b)のときより増えている分、分配金も10,101円と増えています。
(f)しかし、再投資してみるとやっぱり100万円です。
これを何回やっても横長にはなりますが、評価額は変わりません。
つまり、元本払い戻しを再投資して口数が増えても、評価額は変わらず複利なんて効いてこないということです。
これが普通分配なら?
普通分配が出るということは評価益が出ているということですが、やはりそれを再投資しても上のシミュレーションと同じです。
同じどころか、税金を差し引かれてからの再投資になるので、再投資をする効率は元本払い戻しの場合よりよくありません。
複利なんて程遠くなります。
別に評価益を積み上げることで複利が効いてくるんだよと言うのであれば、それは毎月分配型である必要はないですし、ましてや分配を再投資なんて意味のないことをする必要はありません。
結語
今回のシミュレーションは積み立てまで想定してないので、もし社長さんが見てたら(見てない見てない)、少し違うよーと言われるかもしれません。
しかしどう考えても、毎月分配型を積み立てして(購入手数料も払って)、分配を再投資することによって(社長さんドヤ顔)、8%の利回りで複利も効いてくるなんて夢のような話ないですよね…
いやいや…おそらくこの社長さんとブレーンの方々は、おそらく毎月分配型のことなど全てわかったうえでこのような魅力的な記事を書き、自分のような素人を誘導しようとしているのでしょう。
そのページには毎月分配型の銘柄名がいくつも載ってましたが、そういう運用会社との癒着や利権の関係からそういう記事を書かざるをえなかったのかな?
今更自分がびっくりしてこんなエントリーを書かなくても、こういう雑誌を読む人はまたかと思って軽く読み流すのかな?
実際にちょっといいなと思ってシミュレーションをしてしまった自分が恥ずかしいです。